こんな方におすすめ
- 初任でどのように授業をしていこうか悩んでいる
- 生徒の実態に合わせて授業を改善していきたい
- 教科書をどう活用していこうか悩んでいる
新任教員にとっては授業をどのように進めていくかは大きな悩みの種ですよね。
僕も新任の時は目の前の生徒達に合わせてどう授業をしていくか常に悩んでいました。
そこで今回は、授業の流れをワンランク上にするために心掛けておきたい【PCPP】というモデルをご紹介します。
私はこのモデルを参考にしながら授業の流れを変えたことで、生徒にとってより分かりやすい授業に改善することができました。
この記事で分かること
授業の流れを作る上で重要な【PCPP】について
➡ 授業作りの骨格が理解できる
➡ 生徒にとって分かりやすい授業には何が必要なのか理解できる
➡ 教科書の使い方を改善できる
筆者の経歴
・公立教諭 8年
・イギリス大学院でMA TESOL取得
・現在、私立中高で専任教諭
この記事を読めば、授業のつくり方をより現場の生徒向けに改善できるはずです!
それではどうぞ!
Contents
【中学英語】授業の流れはPCPPモデルで圧倒的に分かりやすくなる
タイトルの通り、英語の授業を作る上では、PCPPというフレームワークを理解しておくことがかなり重要です。
PCPPとは
・Presentation (提示)
・Comprehension (理解)
・Practice (練習)
・production (産出)
の頭文字をとった言葉です。
以前はPPPが使われていましたが、Comprehensionの「C」が加わり、最近はPCPPと呼ばれるようになりました。
なぜPCPPが重要なのか
PCPPが重要な理由は、
「PCPPが授業の流れを決めるから」
です。
ほとんどの学校では50分の授業ですが、
その50分をどのような流れで使っていくかが授業の質を決めます。
授業の流れを作っていく上で、
PCPPのフレームワークを頭に入れておくことが非常に役立ちます。
逆にPCPPのフレームワークに沿って授業をしていけば、それだけで流れのある授業にしていくことが出来ます。
PCPPがある授業は生徒にとって分かりやすい
またPCPPがしっかりしている授業は、それだけで生徒にとって分かりやすい授業になっていきます。
生徒が英語を習得していく過程には
という段階が存在していますが、
・Presentation (提示) ➡ 気づき
・Comprehension (理解) ➡ 理解
・Practice (練習) ➡ 内在化
・production (産出) ➡ 統合
といったように、PCPPが英語を習得するそれぞれの段階にぴったりと対応しているからです。
-
インプットした英語が効率的にアウトプット出来るようになる方法2選
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それではPCPPについて具体的にみていきます!
PCPP
①:Presentation(提示)
最初のPresentationでは、題材内容がいかに生徒に繋がっているかを生徒に示します。
「なぜ今日この題材を学ぶのか」
「学ぶことで何ができるようになるのか」
を示しましょう。
代表的な活動例は「oral introduction」です。
oral introductionで気を付けたいことは、生徒が知っている知識と、まだ知らない知識を結び付けることです。
例えば、世界遺産が取り上げられている教科書の内容であれば、
①生徒が知っている世界遺産を挙げさせ、世界遺産への興味を誘います。
②生徒が知らないであろう世界遺産を少し紹介して(自分が行ったことのある場であればなお良いです)、さらに興味を誘います。
③教科書で取り上げられている世界遺産のoral introductionに移ります。
たったそれだけの工夫で、教科書で学ぶ世界遺産に対する意識づけが変わってきます。
②:Comprehension(理解)
Presentationで授業に対する意識づけが出来たら、Comprehensionへ移ります。
Comprehensionでは情報やメッセージを理解する活動を組み込むことを意識します。
代表的な活動例は「教科書本文のlistening、reading」になります。
先ほどの「世界遺産」の例でいうと、
「なぜ世界遺産となっているのか、その理由を探ってみよう」
といったように問題提起したうえで読ませることで、教科書本文から情報を読み取る意識を作り出すことが出来ます。
そうすることで、必要な情報を検索しながら読むスキャニングに繋がっていきます。
この段階では、
・ざっと概要を読み取るスキミング
・必要な情報を検索しながら読むスキャニング
・語句のまとまりを意識しながら読むスラッシュリーディング
・重要な語句をとらえながら読むキーフレーズ読み
・理解度確認に関する簡単なQ&A
など、様々な取り組みが考えられます。
③:Practice(練習)
本文を読んで「理解」をしたところで、Practiceに移り、「内在化」を目指します。
「練習」を省いて言語運用能力を伸ばすことは不可能です。
Practiceの段階を経て、
文法の操作能力が高まったり、音と文字が繋がるということが期待できます。
具体的な活動例としては
・read and look up
・parallel reading
・shadowing
・ペア reading
などが挙げられます。
ペア readingでは、
・交互に読むことで、分からない単語はペアで確認しながら練習でき、サボることは基本出来ない。
・教員は机間指導して、苦戦しているペアのお助け出来る。
・「ペアで2周読んだら着席する」というシステムにすれば、ちょっとした競争意識や緊張感が作れ、教員側は不得意なペアを発見することもできる。
といったメリットがあります。
文法にフォーカスした授業であれば、使わせたい文法を基にしたペア活動、グループ活動を取り入れるのもありですね!
④:production(産出)
最後に、productionに移ります。
productionでは、題材内容を自分の英語で再生、要約したり題材内容について考えたことを学習した事柄を応用して表現したりすることを意識します。
具体的な活動としては、
・Q and A
・story retelling
・summarizing
などが挙げられます。
story retellingを行うことで、【文字・音・意味】を連結させてアウトプットすることが出来ると考えています。
詳しくは下の記事をご覧ください。
私が作成して使っていたワークシートも付いています。
-
【話す活動】中学英語の授業で使えるストーリーリテリングのやり方
続きを見る
productionでの活動を通して、生徒は自分の言語知識の不足部分を認識します。
そして「内在化 している言語知識」を増やしさらにその正確さを向上させようとしていきます。
自分が既に知っていることと、新しく学んだことを「統合」していくわけです。
そこの場で教員が適切なフィードバックを生徒に与えられたら最高です!
PCPPを意識して、ワンランク上の授業を目指そう!
まとめると、
・Presentation (提示) ➡ 既知・未知の気づきを与える
・Comprehension (理解) ➡ 情報・メッセージを理解させる
・Practice (練習) ➡ 目標の言語項目を練習して内在化させる
・production (産出) ➡ 既知のことと学んだことを統合させる
PCPPを意識して授業を見直していけば、間違いなくワンランク上の授業になっていきます。
授業で行っている活動がPCPPのどの段階にあたるのかを考えながら、授業を実践していきましょう!
今回はこちらの書籍を参照しました。
英語学習法・指導法のヒントが詰まった良書です。
またこちらの記事【絶対に役立つ!】英語教員が持っておきたいおすすめ本のまとめでは、英語教師が読んでおきたい本を紹介しています。
是非合わせてご覧ください!
今回は以上です。
最後までご覧いただきありがとうございました。ではまた!