こんにちは、タカヒロです。
そうした疑問にお応えします!
教員を目指す上で必ず考えるのが、「公立か私立か」という問題ですよね。
教壇に立つことは同じでも、採用方法や異動、給与などはどう違うのでしょうか?
この記事では公立教師と私立教師の違いについて、教員になることを考え始めた方へ向けて紹介していきます。
この記事で分かること
公立教師と私立教師の違い(採用方法・異動・給与・仕事)
筆者の経歴
・公立中学 教諭5年
・県立高校 教諭2年
・私立大学附属中高 非常勤講師 1年目
この記事を読んで、公立・私立のどちらが自分に合うのかを考えていきましょう!
それではどうぞ!
Contents
【公立教師と私立教師】異動・給与・仕事の違いを現役教員が解説
公立教師と私立教師の違いを
・採用方法について
・異動について
・給与について
・仕事について
と4つの側面から見ていきましょう!
採用方法について
公立
公立に勤務する場合は、自分が勤めたい都道府県、政令指定都市の教員採用試験を受験することになります。
教員採用試験の内容は受験する地域・年度によって異なります。
例えば【2021年度実施 東京都一般選考】の場合
【1次試験】
・筆記試験 (1)教職教養試験/(2)専門教養試験
・人物試験 (3)論文試験
【2次試験】
・人物試験 (1)個人面接/(2)集団面接(指定課題における受験者間の話し合いや質疑応答)
・その他 (3)実技試験(一部校種・教科)
といった内容です。
教職教養は教育原理、教育法規、教育心理、教育史、教育時事などと学習する範囲が広いため、早いうちから対策を練ることが必要です。
その他、模擬授業が入ってくる自治体もあります。
採用が決まっても、自分で勤務校を決めることは出来ず、最終的に教育委員会から知らされた学校へ赴任します。
僕が受験した都道府県の場合、10月下旬に採用試験の合格発表があり、1月頃に配属先の市教育委員会から3月面談の連絡が来ました。
その時点で、「○○市のどこかの学校か」ということは分かりましたが、勤務校を知らされたのは3月面談の時です。
僕は自宅から30分程で通える学校が初任校となりましたが、自宅から1時間以上掛かる学校の場合は、赴任してすぐに引っ越しの準備をすることになるかもしれません。
私立
私立の場合は、自分が勤めたい学校の採用試験を直接受けることになります。
各学校がホームページや募集サイトへ掲載している募集を見つけて、自分で学校ごとに申し込んでいきます。
自分で学力や校風など、学校の情報を調べた上で受験を申し込むことができる点が大きなメリットですね!
多くの学校が
といった採用の流れです。
②や③で模擬授業や小論文が入ってくることもあります。
一般的には公立の合否が判明する10月頃に募集が多く掲載されます。
教職員募集情報 - 一般財団法人 日本私学教育研究所 (shigaku.or.jp)
ココがポイント
公立はどこで勤めるか選べない。私立は自分が勤めたい所へ応募できる。
異動について
公立
公立の場合、初任者は基本的に5年以内に異動となり、その後は基本的に5~10年で異動となります。
毎年10月頃に「人事異動希望シート」を書き、市町村単位で異動先を記入することができます。
そのシートを元に校長面談をして、人事異動の方向性を決めていきます。
なお、学校指定で異動することは難しく、実際は校長先生から打診された学校への異動を受け入れるかどうかという流れになります。
近隣の学校で異動を希望をしている【同年代・同科目】の先生とトレードのような形で異動することが多いように思います。
また部活で実績を出している場合は、部活優先で異動することもあります。
毎年教員の入れ替わりが起こるため、職場の雰囲気は新年度ごとに新鮮になり、結構和気あいあいとしている印象です。
また、万が一職場での人間関係に行き詰ってしまった場合、異動希望を出すことで職を辞めずに異動することができます。
デメリットは、最長でも10年程で異動しなければならないことや、自分が異動でどこへ行くかが直前まで分からないということです。
また、年度末は「誰がどこへ異動になるそう」という噂が飛び交い、4月に入ってからしか新学年の業務が進められないため、年度初めは非常にバタバタすることも公立の特徴です。
私立
私立の場合は、自分が希望しない限り異動がありません。ここが公立との大きな違いですね。
僕が現在勤めている学校にも20年以上勤めている先生が多くいます。
異動がないため年度末や年度初めにバタバタしない、長期間暮らす場所を決めやすいというメリットがあります。
しかしその反面、人の入れ替わりが少ない分、人間関係がマンネリ化しやすい傾向にあります。
万が一人間関係に行き詰ってしまった場合は、他校への転職活動をすることになります。
ココがポイント
公立は異動が多く、新年度毎に新鮮!私立は異動がなく、落ち着いた生活に繋がりやすい!
給与に関して
公立
公立の給与は都道府県や政令指定都市で一定です。
どこの学校で勤めていても年齢や経験年数によって給与が決まってきます。
東京都の場合、大卒新任者の初任給は以下のように公表されています。
初任給は基本的に「給料月額 + 地域手当 + 義務教育等教員特別手当 + 教職調整額」から算出されています。
給与月額に関しては以下のような一覧表が公表されています。
saisin_kyouiku.pdf (tokyo.lg.jp)
地域手当とは、地域の物価の違いを調整するために支給される手当です。大都市ほど手当の割合が上がっていきます。
義務教育等教員特別手当とは、教員に優秀な人材を確保することを目的として制定された「学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法」第3条の趣旨に沿うための手当です。
月に2500~3000円程度です。
そして今話題となっている「教職調整額」です。
※教職調整額とは?
公立教員には「教職員給与特別措置法」という法律が存在するため残業代は発生せず、教職調整額として給与月額に4%が上乗せされる仕組みになっています。
給与月額が25万円の時点で(およそ34歳)
25万円 × 4% =1万円
となり、教職調整額として1万円プラスされます。
初任者の場合は【197,300円×4%=7892円】が一律の残業代分となります。
公立教員が「定額働かせ放題」と言われるのはこの法律があるがゆえです…。
なお、現状では「残業は月45時間までにしましょう!」と文科省によって提唱されていますが、
教職調整額として支給されている金額は
勤務時間(8時間) × 4% = 約19分であり、
月に20日勤務しても、 19分 × 20日 = 6時間20分(380分)の金額です。
そもそも45時間分の残業代にも程遠いです。
ちなみに僕は残業平均は月100時間程(+土日部活)でしたし、同僚の先生方も同じくらいでした。
働き方改革が進められている?とはいえ、こうした理不尽な現実を把握しておくことも大切ですね。
私立
私立の給与は各学校によって異なります。
月額給与や諸手当は公立と大きく変わらないようですが、多くの私立では「残業代」が支給されます。
残業代の有無が確実な差となり、総じて見ると公立よりも高給となるケースが多いようです。
また中高私立よりも、私立大学附属中高の方が財源が大きいため給与も高い傾向にあります。
G-MARCH以上の有名大学附属では50歳には年収1000万を超えてきます。
私立では自分の頑張りや実績次第で、有名校へ転職して給与を高めるという選択が可能です。
給与を最優先事項とするならば、公立より私立を選んだ方が良いですね。
ココがポイント
公立は残業代が定額!私立は残業代がもらえて、有名大附属校は特に高給!
仕事に関して
公立
公立ではそこまで合格実績を気にする必要はありません(進学校を除いて)。
そのため「生徒の成長」に指導をフォーカスすることができます。
一方で、公立校には様々な家庭環境の生徒がいます。
生徒のトラブルに家庭内の問題が絡んでいることが多々あり、日ごろから保護者と連絡を取ることが重要となります。
学力でのトラブルというよりは、生活上でのトラブルが大半でした。
私立
私立の場合では、合格実績、または部活で実績を出す必要があります。
僕が今勤めている学校でも、「生徒の学力を伸ばす授業」を第一に考える必要があり、合格実績が求められています。
学力アップを期待している保護者が大半であり、生徒の学習意欲も全体的に高めです。
高い学費を支払っている保護者の要望に応えて、結果を出すことが求められるという点が私立の特徴です。
その反面、経済状況を含め安定している家庭が多いため、公立と比べると生活トラブルは少ないように思います。
ココがポイント
公立は生活トラブルが多発する。私立は学力指導が重要視される。
まとめ:自分が優先したい側面を明確にしよう!
まとめると、
公立の特徴は
・勤務校は選べない
・入れ替わりが多く、新年度ごとに新鮮
・残業代は「教職調整額」として定額
・生活トラブルが多め
私立の特徴は
・自分で勤務校を選べる
・入れ替わりは少なく、人間関係がマンネリ化しやすい
・残業代があり、高給になり得る
・学力指導が重視される
といったことが言えます。
最後にお伝えしたいことは「生徒の無邪気さ」は公立でも私立でも変わらないということです。
一生懸命に授業をすれば生徒へは必ず伝わりますし、行事を通して生徒と感動を分かち合うことはどちらでも可能です。
そうした教員としての醍醐味が大きく変わることはないように思います。
自分が何に重きを置くかを考えて、公立か私立かを判断していきましょう!
以上参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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ではまた!